2009年3月24日火曜日

T君の修士修了を見送る


 大学院の修了式が3月12日にあった。院生で記憶に残ったのは、市役所派遣のT君だ。大学院の民法特殊講義を聴講してくれて、家族財産に関する判例を数名の院生とともに検討した。大学院は学生が少ないから、勉強意欲にあふれるT君の参加は、ほかの院生にもいい刺激を与えた。

 また、学部の債権総論や債権各論、法学も聴講してくれたので、今年度は、これまでになく、緊張感をもって講義を続けることができた。また、昨年暮れに行った、名古屋拘置所の見学会にも参加してくれて、学部のゼミ生を刺激してくれた。

 修士論文は、大学で学んだ経済学の知識を生かした行政学の論文だった。この2年間の勉強を、今後どのように仕事に生かしてゆかれるのか、5年後、10年後、T君にあって話を聞きたい。

2009年3月23日月曜日

鳩山御殿を訪ねる

 鳩山4代が暮らした音羽御殿へ出かけた。むかし、護国寺や音羽のあたりを通って、四谷の私学にバスで通学していたから、久しぶりに講談社のビルを見て小学生のころが懐かしく思い出された。講談社ビルは昔のままだが、ビルの谷間に埋もれて目立たなくなった。護国寺の駅から歩いて、鳩山会館へ向かう。鳩山というと由紀夫や邦夫が時の人になっているが、父に当たる威一郎が外相を、祖父にあたる一郎は首相を務めている政治家ファミリーだ。政治に興味がない私にとって、鳩山といえば、和夫と秀夫になる和夫はコロンビア大学で法学士となった後エール大学で博士となり、帰国して、教育者・政治家として名をなしたが、次男にあたる秀夫は、民法総則、物権、担保物権、債権総論。各論の体系書を書き、その弟子である我妻栄とともに、無視できない民法学者である。もっとも40代初めに学者をやめ、弁護士や政治家に転向している。

 急峻な坂を登ると平地が広がり、洋館(大正13年)が建っている。洋館の前には、バラの庭が広がる。車寄せから入り玄関の階段を上がるとホールがある。わきの応接室では、テレビで洋館の説明が行われている。この並びにさらに応接室や食堂があり、南側には張り出したサンルームがある。ホールを直進して2階に上がる階段の中段にはステンドガラスがあり、2階には、一郎、薫(一郎妻)、威一郎の展示室がある。2階の大広間は1階の応接室・食堂の上にあり、採光がよく、明るく、眺望も良い。政治家としての鳩山ファミリーに重きをおいているのか、一郎の弟にあたる秀夫に関するものは、蔵書の中にわずかにみられる程度であった。この点がちょっと残念だ。


 

2009年3月9日月曜日

スポーツ法学会の3月の理事会に出席する

 最近は教員に配分される教育研究費が少なくなる一方で、受講者に配布する資料が多くなった。「さとっち」の場合は、自己の研究資料を集めたり、学会や研究会に出かけたりするのに自腹を切らざるをえない。

 東京でスポーツ法学会の理事会を午前中に、契約法研究会を午後に開催するとの知らせが入ったので、3月○日に東京へ向かった。時間に余裕があるときは、高速バスで寝て行くが、仕事が立て込んでいるときは、新幹線で行くしかない。鉄道の場合は金券ショップを使ったこともあるが、今はJRに直接予約すれば、割安で乗車券が買えるようになった。便利な時代になったものだ。

 理事会は、入退会から審議が始まる。今回も弁護士さんや議員さんの入会者があった。ついで、9月に予定されるアジアスポーツ法学会の東京での開催に関する準備について審議が行われた。(1)費用を600万円と見積もって、当日の参加費やプログラムに広告を入れたり、法人の寄付でまかなうこと、(2)6月末までにシンポジウムの発表者(日本・韓国・中国)を決めて、原稿を二ヶ国語あるいは三ヶ国語で集めること、(3)記念講演をK先生が行うこと、(4)パンフを8月末までにつくり、3国の関係者に配布すること、(5)いつもは12月に行われている日本の学会の大会を前倒しし、翌日に開催すること、(6)この日本の学会のテーマを3つにし、3国の関係者から発表者を募ること、などが決まった。

2009年3月3日火曜日

講演をこなす

 2月28日に所属する大学の大学院法学研究科と法学部がコラボレートした講演会が行われた。「さとっち」には、「スポーツ法に関連して何か話してくれ」という申し入れがあった。そこで、三重県のフェンシングの選手がドーピング違反をしてJADAから3カ月の出場停止処分になった記事が2月中旬に出たので、この記事を深読みするような筋立てを考え、「ドーピングを考える」とした。

 当日は、講演の相方との相性が良かったのか、まずまずの入りだった。レジュメは、聞く人が大学周辺のご年配者が少なくないことを考慮して、やや詳しい資料を10頁分用意した。講義の場合は、10ページから14ページのレジュメを作成し、90分かけて説明しているから、今回の60分という依頼に対しては、この程度が適当だ。構想が熟成するのは前日が一番だから、レジュメは、当日の午前2時から明けがたまで、ときには講義直前までかけて作ることにしている。今回の講演の場合もそうなった。

 記事を出発点に、「オリンピック、野球、相撲における例を紹介し、ドーピングの規制の流れや、ドーピングと評価されるものは何か、ドーピングがなぜ禁止されるのか、を概観した後、本題である、ドーピングにおける法的な問題点」に触れた。講演会は、あまりに抽象過ぎてもお客さんを飽きさせるし、漫才調子なら品性が疑われるし、お客さんの顔を見てやらねばならないから、結構神経を使う。今回は、会場の雰囲気から、まあまあの出来だったように感じた。